かに道楽とヤマサちくわ間の商標権侵害訴訟和解に関する考察

大きなカニの看板で有名なかに道楽と愛知県のヤマサちくわとの間で行われていた訴訟が和解したというニュースがありました。
Yahooニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170105-00000005-mai-soci

事件の内容は、かに道楽が、ヤマサちくわがかに道楽の所有する商標権を侵害したとする商標権侵害事件です。
結果は、判決まで行かず和解。
かに道楽側は請求していた損害賠償45万円を請求放棄。
ヤマサちくわ側は、かに道楽と表示した商品を全て廃棄する。
という形で和解したようです。
ニュース記事だけでは読み取れませんが、おそらくヤマサちくわ側は、かに道楽の名称の使用を断念したものと思います。

Yahooニュース記事によると、”ヤマサちくわ側は「かに道楽が商標権を取得する前から商品名に使っており、侵害には当たらない」と反論していた。”と、紹介されています。
すなわち、訴訟において、ヤマサちくわには先使用権(商32条)があるから、ヤマサちくわは商標を使用する権利を有するはずだという主張がされたようです。

先使用権とは、未登録商標と同一または類似の商標が、未登録商標の登場後に登録され、その登録商標から差止請求などの権利行使をされた時に主張できる抗弁です。
この先使用権が認められると、商標権者は先使用権者に商標権を行使することができません。
しかし、全ての未登録商標に対して先使用権が認められる訳ではありません。
先使用権が認められるには、一定の周知性を獲得した「未登録周知商標」である必要があります。
ここで、一定の周知性とは一地方で足りると解釈されています。
したがって、今回の訴訟では、ヤマサちくわ側がかに道楽の名称の使用を断念したと考えられる和解内容であるため、ヤマサちくわ側の先使用権が認められなかったと推測されます。

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