商標登録したらちゃんと使うべしという話

今日は、商標法の不使用取消審判(商標法50条)のお話です。

登場人物
僕:広島弁を喋る人。
客:今回のお客さん。

<作り話>
客:助けてください。
僕:どうしたんね?
客:農場で作った果物に、この商標を使って売りたいです。
僕:出願したいん?
客:いや、すでに他の人が商標登録していて使えないんです。
僕:ほぅか、そりゃあ残念じゃったのう。使用権でも許諾してもらいんさい。わしが契約書を書いたるけん。
客:もうその話はしていて、すっごいボッタクられたから、断念したんですよ。
僕:ほいじゃあ、諦めて他の商標を使うしか・・・
客:でも、その人は水産会社で、ぜんっぜん使ってないんですよ。
僕:それ、誰かにそのぼったくり価格で許諾してるとかないん?
客:それが、ないそうですよ。
僕:ほいじゃあ、いつから商標登録されとるか知っとる?
客:もう8年前なんです。
僕:ほぅか、長いのう。お客さん、この商標権欲しい?それとも商標が使えればいい?
客:欲しいです。私が独占して使いたいし、似たような商標も出てきてほしくないんで。
僕:わかった。ちょっと待ってな。
———電話をかける———
僕:もしもし、おたくのこの商標、譲渡せん?ダメ・・・なんでじゃ?使ってないんじゃないんか?譲渡してくれんと不使用取消審判するで。
———電話を切る———
僕:お客さん、商標法50条の不使用取消審判しようか。作者の創作力不足で話にならんかった。
客:え、いいんじゃないんですか。
僕:そうじゃな。じゃあ手続きやるけん。
客:ありがとうございます。
———数日後———
客:弁理士、大変ですよ。
僕:なんじゃ?
客:あの水産会社が今日からあの登録商標を使い始めました。
僕:駆け込み使用かのぅ。まあ、不使用取消審判を請求しとるけん、大丈夫じゃろう。電話した後に使用を始めとるけん、商標法50条3項の駆け込み使用じゃ。ちゃんと特許庁には説明しとくけん。
客:じゃあ大丈夫なんですね。
僕:多分な。次は出願するかのぅ。

こうして、僕らが請求した不使用取消審判によって、水産会社の商標権は取消審決が確定し、消滅しました。
やはり、あの水産会社の使用は、駆け込み使用に該当したようです。その後、お客さんの商標は登録され、無事に使用できているようです。
めでたしめでたし。

この会話の中で出てきた、不使用取消審判とは、継続して3年以上日本国内において登録商標が使用されていない時、その商標登録を取り消すことを請求する審判で、商標法50条1項に規定されています。この審判において、取消審決が確定すると、商標権は審判請求の登録の日に遡及して消滅したものとみなされます。

また、駆け込み使用とは、不使用取消審判の請求前3月からその審判の請求の登録の日までの間に登録商標を使用した場合で、その使用が不使用取消審判を請求されることを知った後である場合、その登録商標の使用は、原則として商標の使用に該当しないものとする規定で、商標法50条3項に規定されています(長いのでかなり省略しました)。

なので、商標権を得たら、ちゃんと使いましょう。
ある日突然、取り消されるかもしれませんよ。

<この記事は、執筆時点の法律で記載しています。>

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