写真を撮った時に、知らない人が写り込んでしまった場合

旅行や展示会で、いいな!と思った景色を撮影した時、知らない人が一緒に写り込んでしまって困った!という経験はありませんか?
実は、このような写真をどのように扱えば良いか?については、法律上、明確に規定がされていません。
しかし、最高裁裁判例はあるようなので、これに基づいて考えてみたいと思います。

<最高裁判例一部抜粋>
人は,みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということにつ いて法律上保護されるべき人格的利益を有する(最高裁昭和40年(あ)第118 7号同44年12月24日大法廷判決・刑集23巻12号1625頁参照)。もっとも,人の容ぼう等の撮影が正当な取材行為等として許されるべき場合もあるので あって,ある者の容ぼう等をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となる かどうかは,被撮影者の社会的地位,撮影された被撮影者の活動内容,撮影の場所 ,撮影の目的,撮影の態様,撮影の必要性等を総合考慮して,被撮影者の上記人格 的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。
【引用元】
事件番号:平成15(受)281、[online]、平成17年11月10日、裁判所、[平成28年5月29 日検索]、
インターネット〈URL:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/388/052388_hanrei.pdf

これによると、写真に写り込むことによって「写り込んだ人に対する、人格的利益の侵害が、社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうか?」によって判断されるようです。
超かんたんに言うと、「写り込んだ人が我慢できるかどうか?」です。
我慢できるかどうか?を客観的に判断するための判断指標というのを裁判所は提示していて、下の6つの要件のようです。
①被撮影者の社会的地位     → どんな人か?
②撮影された被撮影者の活動内容 → 何をやってる人か?
③撮影の場所          → 場所はどこか?
④撮影の目的          → なぜ撮影したか?
⑤撮影の態様          → 撮影時の状況は?
⑥撮影の必要性等        → 本当に必要な撮影だったか?
この6つを総合的に判断して、写り込んだ人が我慢できるかどうか?を裁判所は見るべきであると判決したようです。

これだけだと、「撮影された被撮影者の活動内容」の解釈について疑義が生じる気がしますが、多分、撮影時の状況のことだと思います。最初は職業かなと思いましたが、判例を読むと違うように考えられたので。
この指標をもとに、極端な例を一つ考えてみました。
例:複数の人が集まる展示会で、かねてよりファンであって出展者を撮影していると、他の一般の来場者が写り込んでしまった。出展者からの承諾も得てるんだけど、どうしよう?
この状況を上の6つの要件に当てはめてみると・・・
①どんな人か?        →カメラマン
②何をやってる人か?     →展示会にやってきた一般の来場者
③撮影の場所         →展示会会場
④なぜ撮影したか?      →ブース出展者のファンだから
⑤撮影時の状況        →出展者の撮影は、出展者から承諾を得て、撮影していた。
⑥本当に必要な撮影だったか? →もうこの展示会は開催されないかもしれない。
となると考えられます。

最終的には、問題の写真なども見ながら裁判官が判断しますが、このような状況であれば、一般の来場者が無秩序に歩き回る展示会の実情を鑑みると、多少の写り込みが起きるのは当然であり、許容されて然るべきに思います。
少し考えて気がつきましたが、①~⑤は現場の事実です。訴訟において、多少の脚色することもあると思いますが、基本的にはありのままを説明する必要がありそうです。
一方で、⑥は個人の心情に依存するところが相当あると感じました。なので、弁護士等の腕によって良くも悪くもなります。

さて、そうは言っても実際に人が写り込んでしまった。。本当に大丈夫かわからない。
そんな時は、写真をトリミング加工を施したりすることで、強引に人を消してしまうなどの措置を施してしまいましょう。
多少汚くなることはあるかもしれませんが、デジタルデータであれば、塗りつぶしたり、ぼやかしたりする処理も可能です。
不安な気持ちで公開するよりは、遥かに安心して公開できると思います。

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