特許の文書が読みにくい理由

特許出願をするときに作る文書は、とても読みにくいと言われます。
確かに、特許の文書は、書くのも読むのも面倒な文書です。
これは書き手の問題以上に、そもそもそのような文書にならざるを得ない事情があります。
思いつくままに書いてみました。

主語を書いている。
日本語では主語が省略されがちです。だけど、特許では、主語はほぼ必須です。なぜなら、その機能や処理を一体何者が実現するのか明らかにしなければならないからです。これが曖昧なままだと、例えば、侵害を特定するときに、自分の何が、相手の何に相当するのか、明確でなくなる恐れがあります。書かなくても分かる、そんなのあたり前という考えで、省略してしまうと、相手に逃げ道を与える事になります。また、主語がないと他の言語に翻訳しにくいです。

抽象化されている。
鉄でできたネジよりも、金属でできたネジの方が、特許の権利範囲は広いです。
鉄でできたネジでは、鉄でできたネジしか特許権が得られませんが、金属でできたネジは、鉄も、アルミも、銅も、金属製のネジならなんでも権利範囲に含まれます。自分の発明を含みつつ、できる限り周りの権利も取得しておく事で、他人の使用を抑えることができます。金属なんていう微妙な表現を使うのは、この辺に理由があります。

一文が短い。
短ければいいというわけでもないのですが、長いと、思わぬ解釈をされる恐れがあるので、できる限り短い文を書きます。
思わぬ解釈をされると、例えば訴訟の場面で自分の権利範囲が狭く解釈されたりします。当然、被告側はそれを狙って、自分の製品が権利範囲に含まれないように主張してきますので、一義的に解釈出来るようにします。
これは、他の言語に翻訳するときも同じで、日本語がいい加減だと、修飾関係がわかりにくくなったり、変な動詞で翻訳されたりします。

くどい。
これは結果論なんですが、一文が短く、かつ主語をちゃんと書くので、同じ主語が何回も出てきます。もういいよ。。。というくらい出てくる場合があります。これは宿命だと思います。

と、挙げればキリがなさそうです。
こんな読みにくい文章ばかり書いている弁理士ですが、
良いことも少しだけあって、文章の添削ができるようになります。
文法が正しいかとか、解釈の揺れが生じないか、とかそういう添削ですね。
弁理士に対するそういうニーズは皆無ですし、そもそもそういう技能を持っていることに気がついている弁理士も少ないように思います。
僕は、頼まれれば文章の添削しますよ。

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10月25日日記
緊急出願の依頼を受け、打ち合わせに。
緊急出願対応は、今月2件目。
10月はそんな仕事ばかりやっている気がします。
終わったら、外出先から直帰し、保育園に子供を迎えに行きます。
他の子供が、ポケモンのことを僕に聞いて来て、かわいい。

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